シーサー職人として食べて行く事
私が漆喰シーサーに転向した時に、ある有名なシーサー職人さんと話をする事が出来た。その人が言うには、「シーサーを作って食べて行くには、本当に好きか、これしか出来ないか、両方無いと絶対にやっていけない、それぐらい厳しい世界だ」と何度も言われた。正直、私はその時それを聞いて「これから希望に満ちて新しい事をやろうとしている人に対して、希望がなくなるような、何て事を言うんだろう・・」とちょっと反感を感じたが、今となってはその言葉の意味がよく理解出来る。
私はシーサーが好きだ、それには当てはまっている。けれども、見るのが好きであって、作るのが本当に好きだと言われれば自信がないし、「これしか出来ない・・・」これには当てはまらなかった・・・9年ぐらい事務の仕事をしていたので、こんな苦労をしなくても、もっともっと簡単に、楽に稼げる方法を知ってしまっていた。
シーサー作りは楽しい。けれども、それは遊びで作っている場合だけ楽しい。同じ物を何個も何個も、店からの注文だからと言って作るのは、私にとって苦痛でしかなかった。
そんな気持ちでシーサーを作っていたら、作品の質がどんどん落ちてきた。
私の作品は小さい物が多いので、月に10万円稼ごうと思ったら、100個は作らないといけない、それを毎月継続して注文を取る事なんてかなり難しいのに、作るのはもっともっと難しい。
当時の私は作品に対してあまりに細かい事にこだわりすぎていたと言う事もあって、2週間かけて必死で作った作品の利益が15000円にも満たない金額だったと言う事もあったし、それでも店から散々文句を言われた。
そんな事が色々と重なって、もう、シーサー一筋で食べて行こうと言う考えは捨てる事にした。
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